ある外科医のドラマの中で言われていた、有名なセリフである。
もちろん、フィクションであり現実は違う。自分も手術の説明をしている時に「先生も失敗しないですか?」と言われたことがある。非常にプレッシャーであったが、安全に行いますとお伝えした。
患者さんの安全が第一であり、失敗しないことが安全とは限らない。
近年、腹腔鏡下手術が当たり前のように行われている。
腹腔鏡下胆嚢摘出術を例にとって説明したい。状況にもよるが、炎症が強い場合は必ず腹腔鏡下手術から開腹手術(お腹をあける)に移行することを説明している。
患者さんに安全な手術を行う方法として、開腹手術を選択することはある。また、手術中に予期せぬ出血があり、予定より出血量が多くなる場合もある。
「失敗」の程度によるが、予期せぬことは手術を経験していく中で何件か起こる。多くの症例を経験することで、失敗ではなく予期せぬことが生じてもリカバリーできるスキルを身につけることが出来る。
つまり、経験値の高い外科医ほど「失敗しない」と言わない。なぜなら、失敗しない外科医は必ず失敗するからである。
もちろん、失敗しないように最大限努力することが必要であるが。
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